二人は、気まずそうに離れた。ジュリと健ちゃんは、にやけていた。ジジも何気ににやけていた。

(恋じゃの〜。)
頭の中でジジは、話しかけてきた。

(そんなんじゃないよ!)カナルは、心の中で喋った。

四人は、テーブルの上で宿題を始めた。

「姫子って勉強が出来るんだよ!」ジュリは、自分のことのように話始めた。
変な静けさが苦手だから、喋ってないと落ち着かないのである。

「ところで姫子って明後日誕生日だよね。何かするの?」

「ううん、夜に家族でご飯食べに行くくらいかな。」
「じゃあ、昼間はあいてるのね!私たちで姫子の誕生日パーティーしようよ。ねっ!」

ジュリは、カナルと健ちゃんの顔を見て目で合図を送った。

「おっ!いいね。カナルもいいだろ。」
健ちゃんもカナルに合図を送った。

カナルは、照れながら頷いた。

(ジジ、なんだか姫子の前だと上手く話せないんだ。何でだろう?)

(お前さんにとっては、初体験の気持ちじゃからの。)

(だから、そんなんじゃないって…。)
カナルも少し感じてきたのか顔が赤くなった。

この時。カナルは、6歳にして初恋を経験した。

「いいよ。あんまり私と仲良くしてたら、周りに何言われるかわからないよ。」
姫子は、悲しそうな顔をして言った。

「僕は、平気だよ。姫子と友達になりたいんだ。」 健ちゃんは、笑顔で言った。
「僕も姫子と友達になりたい…。」カナルも照れくさそうに言った。

姫子は、目に涙を浮かべて笑顔になった。
カナルは、ドキドキした。

「じゃあ、決まりね!パーティーは、どこでしようか?カナルの家は、ダメ?」

ジュリは、カナルの顔を見て、ニコニコして何か言いたそうな顔をした。半ば強制を要求された感じがした。

「…母さんに聞いてみないとわからないけど、たぶん大丈夫だよ。ちょっと、待ってて」
カナルは、そう言うと自分の部屋から出て、母がいる台所に向かった。

「母さん。」カナルは、母に声をかけた。ちょうど母は、オヤツを持っていこうとしていた。

「どうしたの、カナル?」

カナルは、とても嬉しそうな顔で母に伝えた。母もそんな楽しいことは、すぐにOKしてくれた。

カナルは、オヤツを持って部屋に戻ってきた。