声が聞こえて恐る恐る横を見るとジュリと姫子が立っていた。健ちゃんは、慌ててカナルの背中に隠れた。カナルの笑顔は、固まった。

「あらっ、どうしたの?二人とも。待ち合わせに裏門って言ってたわよね?」
「はい。」二人の声が揃った。
ジュリの笑みは、笑っていなかった。カナルと健ちゃんは、ジュリの怒りのオーラが見えるくらいの恐怖で声が震えて返事をした。

「この子は、天見 姫子ちゃんよ。私の友達よ!ねっ」

「う、うん。よろしくね。でも、いいの?」
姫子は、怯えていた。

カナルと健ちゃんは、そんな姫子を見ると笑顔で言った。

「もちろん、いいよ。なぁ、健ちゃん。僕は、カナル。よろしくね。」

「うん、一緒に遊ぼうよ。僕は、健ちゃんね。よろしく。」

姫子は、少し嬉しそうな顔をした。

「私も姫子でいいから。よろしく」


キュンッ。姫子の笑顔でカナルの心が締め付けられた。

「あれ?変な感じがする。」

「どうしたの?カナル、大丈夫か?」

健ちゃんは、心配そうにカナルを見た。

「うん、大丈夫。」カナルは、もうなんともなかった。でも、あれはなんだったんだろうと心の中で思った。

四人は、カナルの家に向かった。

「ちょっと、待ってて。母さんに友達来てもいいか、聞いてくるね!」

カナルは、そう言うと家に入っていった。

「母さん、ただいま!」

「あらっ、おかえり。」

母は、台所で何かをしていた。

「ねぇ、母さん。今日友達と一緒に僕の部屋で遊んでもいいかな?」

「いいけど、宿題は?」

「うん、みんなでするから大丈夫だよ。」

「みんなってそんなに大勢なの?」

「ううん、三人しか連れてきてないよ。健ちゃんと…後、」
カナルは、言葉に詰まった。女の子を連れてきたのは、初めてだからとても恥ずかしくて言えなかった。

「じゃあ、四人のオヤツとジュースを用意しなくちゃね。」
母、急いでオヤツの用意を始めた。

「さっきまでケーキを焼いてたの。今日のオヤツに出すわね。」

「わぁ!ありがとう、母さん!じゃあ、友達呼んでくるね!」

カナルは、嬉しそうな顔をしていたので母もなんだか嬉しい気持ちになった。