カナルは、ジジの声が聞こえていたが母の涙を見て頭の中が真っ白になった。いつも優しく笑って自分の名前を呼んでくれる母ではなかったからだ。

「母さん、母さん。」

カナルは、母の名前を呼んだ。

「母さんって呼ばないで!」母は、怒鳴った。

カナルは、恐かった。母の前を後退りをしながら、逃げ腰になった。
そして、走った。

「こんな試練嫌だ。夢から覚めたい。ジジ、ジジ、助けて!」

(カナル!逃げるでない!逃げることは、母の心は助からんぞ!)


カナルは、足を止めた。


「母さん…。」

カナルは、置き去りにした母のことを考えた。

「そうか!僕は、僕自信に勝たなければダメなんだ。僕が逃げれば、母さんは助からない。母さん、今行くよ。」

カナルは、また走って母の所に戻った。

「母さん、一人にしてごめんね。母さん、いつもありがとう。」

そう言うとカナルは、母に抱きついた。母を包むほどの身長は足りてないが、カナルの温もりは、母に伝わった。
カナルの温もりと一緒にカナルの体は、光り輝いた。

「カナル、ありがとう。」母の声が聞こえたとともにカナルは目をさました。
(カナルや、よく頑張ったの。自分にとって、最大の愛する人が自分の弱点じゃ。愛する人に嫌われた時、人はまず自分自身のことが傷つきたくなくて逃げてしまう。じゃが、置き去りにされた愛する人は、どうなる?本当に愛する人なら自分の身を捨ててでも助けたいと思う。お前さんは、母の心を守った。カナル、よくやったぞい。)

ジジは、カナルの成長に感動した。
カナルは、泣き声も出さず涙を流していた。

「ジジ、僕は本当に母さんを助けれたのかな。そんなに簡単に人の心は救えるものかな。」

(そうじゃな。光り魔法は救うだけが目的じゃない。他にもあらゆることに役立つ魔法じゃ。簡単に言えば、癒す力もある。心に光りが当たれば、人は勇気が溢れてくる。生きる力も与えられる。最終的には、自分の力じゃが手助けだと思えばいいんじゃないかの。)

カナルは、ジジの言葉で少し気が楽になった。ジジの言った通り、まだ自分は未熟者で立派な人間ではない。人を助けるだけの力ではないが手助けなら、今の自分にできる最大の力だと思ったからだ。