(餓鬼は、悪の心が強い。じゃから、善の心にするには餓鬼自身に光りを浴びせればいいんじゃよ。）

｢なんだ、そんなことなら簡単じゃないか(笑)｣

カナルは、少しホッとした。凄い魔法だったら正直あまり自信がなかったのだ。

(これじゃから未熟者は、困るわい。）

ジジは、本を見せてきた。
(お前さんにこれが読めるかの。）

カナルには、分かるわけがない人間の言葉で書かれていない上に、たくさんの数字が書かれていた。
｢読めるわけがないよ。｣

(でも、お前さんはこれを読めるようにならんといけないのじゃよ。読めて当たり前にならんとな。）

カナルは、大分自信を無くした。でも、それと今回の魔法と関係があるのか意味が分からなかった。
(この本の超魔法が、光りの魔法じゃ。お前さんは、段階もなくしようとしてることじゃ。）

カナルは、言葉が出なかった。

(カナル、やめるか？）

｢やるよ。｣カナルは、少し維持になっていた。ジジに認められたいという気持ちと女の子を助けたいと思う優しい気持ちを秘めて。

(では、早速始める。）

ジジは、カナルを魔法で眠らせた。




｢…、ここは、どこだ？｣

カナルは、夢の中にいた。頭の中でジジの声がした。

(カナルよ。お前さんは、今夢の世界におる。光り魔法を使えるようになるには、まず自分の体に光りを取り入れなければならない。しかし、夢だからと言って油断するでないぞ。そして、心をしっかり持つのじゃ。わかったな。）

カナルは、言葉を言わずに静かに頷いた。

カナルの夢の世界は、草原が広がっていた。遠くのほうで人が立っているのが見えた。カナルは、人が立っている所に近づいた。



母であった。母は、背中を向けて立っていた。

｢母さん、こんな所で何しているの？｣

カナルは、母の顔を除きこんだ。母は、泣いていた。

｢どうしたの？！母さん！｣
母は、呟くように喋った。

｢もう、カナルのこと疲れちゃった。母さんだって母さんの人生があるのよ。あなたのこと考えないで生きていきたいわ。父さんと二人がよかった。｣
カナルは、ショックで言葉も出なかった。

(カナル、惑わされてはならんぞ。闇と戦うんじゃ。）