母は、カナルをおんぶして、タオルに包まれたジジを抱き動物病院へやってきた。
ジジを包んだタオルは血で赤く染まっていた。



母は、泣きながら先生に助けを求めた。





「ヒュー、ヒュー。」
ジジは、かすかな息しかしていなかった。



「残念ですが、ここまで内臓が損傷していますと助かる確率はありません。このまま眠らせてあげるのが一番でしょ。」

先生は、安楽死を母にすすめた。



「そんな…。(泣)」母は、肩を振るわせた。

母の背中でカナルは、二人の話を聞いていた。

(ダメでちゅよ!ジジは、生きてるでちゅよ!ママさん、お願いでちゅ。やめて!)

カナルは、母の背中で暴れた。

「息子とジジは、ずっと一緒に過ごしてきたんです。最後にお別れをさせてあげてもいいですか?」

母は、そう言うとカナルを抱き抱えるとジジの近くに寄った。



(ジジ、聞こえまちゅか?カナルでちゅよ。)

(カナルか〜、すまん。心配かけたの。わしは、大丈夫じゃ。しかし、もうこの仮の姿はダメみたいじゃ。仮の姿であれ、わしは死ぬ。もう一度天に帰らないとならん。少しばかり会えんと思うが、天で回復したら、お前さんに会いにくるでの。)

(ダメでちゅ!ジジと離れたくないでちゅ!僕は、…。)


カナルは、ジジにしがみついた。母が引き離そうと思っても離れなかった。

「奥さん、とりあえずお子さんもまだジジ君と離れたくないみたいですし、手続きのほうをお書き下さい。」

先生は、そう言うと安楽死の手続きの紙を渡した。母の手が震えた。先生は、少し席を外すといって、部屋から出ていった。

「カナル、ごめんね。でも、こうしてあげるのがジジのためなのよ。(泣)」

母の声とペンを持つ手が震えた。


カナルは、静かに囁いた。


(…ジジ、大ちゅきでちゅよ。)










「な・ん・と・か・な・る」





「えっ?…。」母は、カナルのほうを見た。


母の心は、激しくザワついた。

「カナル?」母は、呼びながらカナルの背中に手をおいた。その瞬間、カナルの下から、




ニャーオ!