カナルは、初めて複雑な気持ちという感情でモヤモヤしていた。

(大丈夫か、カナル?お前さんにはまだ早かったかのぅ?)

カナルは、下を向いて首を降った。でも、決して平気ではなかった。怖くて怖くて仕方なかった。



その時、…ガチャッ!

(おっと、マズイ!)ジジは、慌ててシャボン玉を消した。



母が部屋に入ってきたのだ。

「あら、カナル。ジジと遊んでたのね。…ん?カナル?」



母は、カナルの顔を除き込んだ。カナルは、今にも泣きそうなくらい悲しい顔をしていた。
母は、カナルを抱き上げると背中を優しくトンっトンっと叩いた。



カナルは、そのまま寝た。



ジジは、悩んだ。
カナルは、まだ小さすぎる。
カナルの心が壊れないか。



(神様。わしは、どうしたらいいのじゃ。カナルが可愛くての傷つくのを見たくないんじゃよ。わしは、先生としてダメなやつじゃ。)



ジジは、カナルが寝ている間に外に散歩にでることにした。

(わしも少し外の空気を吸って気持ちを整理しないとな。)

ジジは、窓から庭にピョンっと飛び出た。



景色を見るでもなく、ジジは、下をむいて道の横をトコトコと歩いていた。




チリンチリン!後ろから自転車がきて、ジジは慌てて避けた。


その瞬間、

ドンッ!

低く鈍い音とともにジジは、高く飛んでいた。そして、強く地面に叩きつけられた。

ダンッ!



「あっちゃ〜、猫引いちまったよ。やべ〜な。」「おいっ、そんなんどうでもいいから早く行こうぜ。」「おう、それもそうだな。」


車に乗った二人組の男たちは、何事もなかったように去っていった。


ジジが避けた自転車に乗った人は、全部見ていた。自転車に乗った人は、恐る恐る猫に近づいた。



「…ジジちゃん?キャッ!やっぱり南都さん所のジジちゃんだわ、大変!」


自転車に乗った人は、家がお隣の川本さんだった。




ピンポーン!ピンポーン!「南都さん、いらっしゃる?!川本です!南都さん!」




「はーい。どうしたのかしら?慌てて。」