(気を取り直して、今から力のコントロールを始めるぞい)


気を取り直さないとジジ事態が落ち込む一方だからだ。

(あ〜い。今日の修行は、なんでちゅか?いろんなものを出すのも飽きたでちゅ、たまには違うことしたいでちゅよ。…ジジの話もウザイし。)

カナルが生まれてから今までずっと想像から生み出す物体を作ると言う修行ばかりだった。後は、ジジの長ったらしい説教ばかりだ。


(当たり前じゃ、お前さんは、赤ん坊じゃから体の自由もきかんじゃろ。少しずつ増やすしかなかろう。…ってか、今わしの話をウザイって…うっ…う。(泣))


またカナルは、ジジを泣かせた。



(今日から心の勉強じゃ。では、始めるぞい。)

ジジは、口からたくさんの大きなシャボン玉を出した。

(なんでちゅか、これ?)

(世界中の生き物たちの心じゃよ。一部じゃがな。覗いてみい。)



カナルは、一つのシャボン玉をよく見た。そこには、動物の親子がいた。母親と子供だった。

(わぁー!動物がいまちゅよ。なんていう動物でちゅか?可愛いでちゅね。)

(鹿じゃよ。)



ジジは、なぜか少し怖い顔をしていた。


その後、すぐに他の動物も映り、鹿の親子はその動物たちから逃げ回るが、子供の鹿は、他の動物に捕まり食べられてしまった。母親の鹿は、悲しそうに我が子を見つめた後、去っていった。

(やだっ!やだっ!ジジ、何これ怖いでちゅよ!イヤでちゅよ。)


(仕方ないことなんじゃ。生きるためのルールじゃよ。)

ジジも辛そうに言った。

(あの動物は悪者なんでちゅね!)


(バカもん!!!)
ジジは、怒鳴った。

カナルは、驚いて固まった。ジジがなぜ怒るのか理解出来なかったからだ。

(もう一度、よく見るのじゃ。)


カナルは、またシャボン玉を覗いた。鹿の子供を加えたあの動物だった。

(やっぱり、悪いやつでちゅよ!どうしてジジは、仕方ないって言うでちゅか?)

(あれは、ライオンの母親だ。ほれ、母親のそばにライオンの子供たちが嬉しそうに寄ってきたじゃろ。子供たちを見てみい、ガリガリに痩せておるわい。食べ物もろくに食べれていない証拠じゃよ。)


(…。)