カナル、10ヶ月。



ベランダの外では、朝早くから母が洗濯物を干していた。カナルは、ジジと一緒に窓越しから母を見ていた。


(ジジ、…お腹しゅいたでちゅね。マンマまだでちゅかね。)


いつも母の洗濯が終わってからの朝ごはんになる。カナルは、ミルクを卒業して離乳食に変わっていた。


(そうじゃの。わしもお腹すいたわい。)


ぐぅ〜!

二人は、ハモるようにお腹を鳴らしながら、母を見物していた。


(所でジジって、猫の餌食べるでちゅよね。おいちぃんでちゅか?)

(…、何気にな。気に入ってるわい。)

(ふ〜ん。)


どうでもいい会話を二人はしていた。



「お待たせ〜。お腹すいたでしょ。すぐにご飯にしますからね。」


「アー!」「ニャー!」二人は、喜びの声を出した。



「カナルは、本当に食いしん坊ね。さぁ、ご飯よ。」
カナルは、母からスプーンでご飯を食べさせてもらうたんびにパタパタと足をばたつかせた。
ジジもほっぺたに詰め込みすぎるくらいにガッツいた。


「それにしても…生まれたときとカナルは、顔が変わったわね。丸かった顔も卵形に変わったし、何より目が糸みたいだったのに、今ではクリクリな目をしているわ。ここまでくると別人ね。(笑)」


母は、笑いながらカナルを見つめた。



ご飯を食べた後、カナルとジジはリビングで遊んでいた。母は、家事をしていた。


(ジジ、さっきママさんが僕のこと笑ってたけど、そんなに変わったでちゅか?)


ジジは、カナルの顔を除き込んだ。

(そうじゃの。痩せたの。)

(えっ?それだけでちゅか?)

(もともと、お前さんは特別魂じゃからの。特別魂は、魂の成長が他の魂よりも早いから見た目にも変化したりするんじゃ。普通の魂は、いずれ止まるが特別魂は、永遠じゃからの。)


ジジの話は、長かったがカナルもちゃんと聞くようにはなった。しかし、意味がわからないことが多くめんどくさそうな顔をしたりする。

(また、お前さんはそんな顔するじゃろ。わし、この10ヶ月で何度も泣いたぞい(泣))

ジジも相変わらずの泣き虫だった。