「誰?」

少し不機嫌に扉を開けた相手をにらむ。

私の眠りの邪魔をしないでよ。

そんなことを思いながら暗闇に眼を凝らすと見知らぬ人間の男が立っていた。

男は少し呆然としていた。

「だから、誰?」

「あ、俺は蘭。ここはどこなんだ?」

「蘭・・・?」

男なのに、蘭。

へえ。面白い。
これは紅が言ってた蝶ね?確かに美しい。


「ここは、女郎蜘蛛の住みかよ。」

「じょ、女郎蜘蛛?」

驚いた様子で聞き返す。

五月蝿い。

なんで聞き返すの?

そんなことを思いながら私はゆっくり起き上がる。