蝶と蜘蛛1

「あら、いきなり尋ねるなんて失礼じゃない?」

私は不機嫌に振り向く。

そこには涼しげな雰囲気をまとった男、流星がいた。

「失礼。急にあなたのお顔が見たくてね。」

「嘘をつかないことね。」

私は静かに睨みつける。

「怒らないでくださいよ。まったく私はあなたを怒らせる名人のようですね。」

そう言って流星は笑いながら近づく。

私は窓の外に視線を移す。

「だけど今日のあなたはすこし機嫌がいいようだ。」

そう言って私のそばに座る。

「なぜ?」

「いつも私が急に訪れるとあなたは決まって華を残して消えるでしょ?」

そう。

私はいつも機嫌が悪い時は術を使い消える。

その場には術を使った後の華が残る。

「お望みとあらば消えるわよ?」

私は静かに微笑みながら空を仰いだ。