蝶と蜘蛛1

この気配、紅だ。

私は蘭の腕を引き寄せて着物を頭からかぶせる。

「なっ。」

驚いた様子でこちらをみつめている蘭。

「黙っていて。」

そんな蘭を私は一言で制する。

その途端ふらりと紅が現れた。

「ねえゆかりぃ~私の蝶みなかったぁ?」

甘ったるい声で紅は私に尋ねてくる。