だけど目の前にいる人間、蘭は夢を持っている。

少し羨ましい。
それと同時に
少し鬱陶しい。

だから私は立ち上がり蘭の元に歩み寄る。

「ねえ蘭?」

少し媚びた声で蘭の名を呼ぶと、蘭は驚いた顔をして少し頬を紅色に染めた。

「な、なんだよ。」

「あなた忘れてなあい?」

「なにを?」

まだ少し赤い蘭の顔に顔を近づけ耳元で囁く。

「私も、女郎蜘蛛よ?」

その瞬間蘭の体がピクリと動いた。