先週、お母さんが亡くなった。


死因は、がんだった。小学生のときに亡くなったお父さんと同じ死因。


お母さんの死に顔はびっくりするくらい痩せこけて、肌は雪のように白いままだった。


でもお母さんは……微かに微笑んでいた。なにが言いたかったか、結局わからなかったけど。


ショックだった。たった一人の支えを失って。


それと同じくらい辛いのは……お金のこと。


食費やらなんやらはバイトでなんとか食いつないできたけど、学費だけは仕送りがなきゃ払えない。


かと言って退学にもなりたくないし……


ため息がひとつ、冬の空に溶け込む。


煉瓦でできた大学の門が、見えてきた。