鮮やかなイルミネーションが、俺の瞳を突いていく。



イルミネーションを無視して、俺は人気のない海へと降り立った。



静かな冬の夜。空には雪が舞う。



雪は星と重なり重なり……そして俺の肩へと舞い降りる。



そして雪は優しく笑う。俺は雪を掃いのけることなく、紺の空を見上げた。



花を握る力が増す。それでも雪は舞い降り続ける。



雪の天使様-見ていますか?



今年も来ましたよ。貴女の好きな花束を持って。



雪の天使が優しく笑う。



俺は、雪に負けぬように花を高々と掲げた。