漁船が島ギリギリに着いた。


1人男が降りて来て桟橋を掛けようとしたが、乗っていた人達は、勝手に降りて海水に浸かりながらこちらに向かってきた。


中には、深い所にはまったのか溺れそうになってる人もいた。


僕は、だいたいの人数を目で確認した。

約20人は超えていた。


若い人から中年、かなりの年齢の人もいるようだ。


口々に愛弓ちゃんと念仏のごとく言っていた。


掛けた桟橋から最初に降りて来たのは、次郎が働いていた建設会社の社長だった。


次に降りて来たのは、亀山組の藤本だった。



「次郎さん大変な事になっちゃった。」


愛弓が少し焦り気味に言った。



「ブログに、ここに居る事書いて、私の為に、剣の会湯の街解放同盟に入らないかって呼びかけたんだ。

まさか本当に来るとは思わないもん。」


次郎は、笑いながら愛弓の頭を撫でた。