いつも強気な次郎にしては、珍しい発言だった。
僕は、次郎の横顔を、見た。
不精髭に所々白い物が混じっていた。
「だけど、仕方ないんじゃないですかねえ。」
「ああ、仕方ないのかもなあ。だけど、まぁいいか。もう寝ろよ。」
次郎は、ボールペンをくわえて、黙りこんだ。
僕は、身体の疲れと気疲れでお腹がいっぱいになると眠気が襲って来ていたので、そっと立ち上がり、テントに行こうとした。
「純一、仕方ない事と仕方ないじゃ済まされない事が有るような気がしてな。
それとテントに行くなら寝袋を持って行けよ。
きちんとオナ○ーしろよ。
俺もあとでしょう。」
次郎は、そう言って笑った。
次の朝目が覚めると次郎の寝袋は、テントの隅に片付けられていた。
僕は、熟睡したらしかった。時計を見ると、6時過ぎだった。
テントを出ると洞窟の前の昨日と同じ場所に焚き火が炊かれて、次郎がその前にどこから持って来たのか長い流木に座っていた。