しかし、モヒカンの髪は、逆立ち気迫がこちらにも伝わって来るようだった。



自衛隊員も次郎の気迫に押されていた。


上島と愛弓の乗った漁船は、何とか島まで着こうとしていた。



次郎は、それをちらっと見ると更に輸送船に船を近付けた。


輸送船と次郎の戦闘船では、まるで大きさが違い次郎の場所から輸送船の上までは、何メートルかあった。



機関銃の音が鳴りやむと次郎は、機関銃を海に放り投げた。


弾が切れたのだ。



僕も河田も次郎がこのままでは危ないと思い泳ぎ出していた。



次郎は、船からロープを取り出すとそれを振り回し輸送船に投げた。



ロープの端にフックが付いていて輸送船に上手く引っかかった。



「剣の会湯の街解放同盟山中次郎だ!!

貴様ら覚悟しろよ!!」



次郎は、日本刀を抜いた。



僕は、これはマズイと思い島に向かって立ち泳ぎをしながら他の漁船を出すように叫んだ。



和美と井原兄弟と何人かの人が動くのが分かった。



次郎は、刀を口にくわえてロープを使って輸送船を登ろうとしていた。



パーンパーンと銃声が響くと次郎の身体がガクッとなるのが分かった。



自衛隊員は、やっと我にかえり次郎を撃ち始めた。



パーンパーンと再び銃声が響いた次郎は、片手でロープにぶら下がっていたが最後の1発で身体が宙に投げ出され海に落ちた。



河田も僕も必死に泳ぎ次郎の側に行こうとした。



「次郎さん!!」



島から愛弓の叫び声が聞こえて来た。