次郎は、それを見ながら言った。



「男は、派手で目立つ仕事をしたがるが女は、そう言うの関係ないんだなあ。

地道な仕事も嫌がらない。

結局裏できちんと男ってのは、支えられちゃうんだよ。」



僕もそう思ったが女性陣の和美と愛弓に対する忠誠ぶりにも驚いた。



僕は、最初どちらかと言うと愛弓の持つカリスマ性に惹かれるのかと思っていたが、和美の持つ母性的な面にも同じ様に惹かれてるようだった。



彼女達にとっては、次郎は、和美や愛弓が尊敬する存在だからかなり遠い存在のようで次郎に直接話し掛ける者は、ほとんど居なかった。



次郎があまり喋らないのとその風貌にも近寄り難い物があるからだろうと僕は、推測した。



しかし、相変わらず愛弓は、次郎に軽口を叩いたし和美は、時には次郎に説教もした。



僕には、見慣れた光景だが女性陣達には、とても不思議な光景に見えるようだった。



愛弓は、そういう雰囲気を悟って良く次郎をからかった。



次郎さん昨夜は、私のテントに来ようとしたでしょうとか、お風呂を覗こうとしたでしょうとか、夜中にテントの中で大きなオナラは止めてねとか、実にくだらない事だった。



次郎は、愛弓にからかわれる度に苦笑いを浮かべた。



時には、愛弓を捕まえて砂浜に放り投げたりした。



次郎と愛弓は、仲の良い親子のようにも見えたし恋人のようにも見えた。



女性陣は、そういう光景をだんだん見慣れて来ると次郎に少しずつ話し掛けるようになっていった。