なるほど次郎は、愛弓にその作戦を教えに言ったのか。



しかし、格闘技マニアだからと言って誰でもが出来る事では、なかった。



愛弓は、佐竹がタックルに来ると賭けて山を背にしたのだ。



そして、体重差を少なくしてタックルが来るタイミングに合わせて膝を出した。


普通は、佐竹の高速タックルに合わせる事は、出来ないだろう。



それに、タックルで来ない場合だったら愛弓は、完全に負けてたはずだ。



最初にタックルが来る事に愛弓は、賭けたのだ。



僕は、愛弓の反射神経の良さと度胸に尊敬の念を抱いた。



「藤本、こりゃ、愛弓ちゃんの勝ちだな。」




藤本は、やっと半身を起こして何が起こったのか分からず周りを見回している佐竹に蹴りを入れながら苦い顔をして言った。



「ああ、仕方ないな。
次は、こんなに甘くないぞ。

純一と俺だな。」



いよいよ、僕と藤本の対決だ。



僕は、お腹に力を入れた。



愛弓が佐竹を失神させた。



その結果より愛弓の賭けに僕は、奮い立った。