次郎は、それ以上僕達が聞いても藤本が降りて来てからだとしか言わなかった。


10分ほど待っていると声が聞こえた。



「次郎、純一、愛弓出て来いよ!

撃ったりしないから安心しろ。」



藤本だった。



次郎も僕も愛弓も呼び捨てにしている。


次郎は、呼びかけにゆっくり立ち上がると洞窟を出た。



愛弓も僕もそれに続いた。



大木があちこち散らばった砂浜に出ると藤本と佐竹とあと2人の男が海を背にして立っていた。



2人の男は、島に来るようになったのは、作業が始まって半ばくらいだっただろうか目立たない存在だったが作業は、真面目にやるタイプだった。



片方の背の低い30代くらいの男は、猟銃を肩にぶら下げていた。



もう1人は、20代だろうかガムを噛みながらニヤニヤしていた。



銃で撃たないと言いながら猟銃を持って来てる。



僕の視線に気付いたのか藤本が笑いながら言った。



「純一、銃は一応だよ。
もしも、って事があるだろ。

次郎がどう出るか俺には、分からんからよ。

お前達ガキ2人なら楽なんだがな。」



「どっちが、ガキなんだろうね。」



愛弓が皮肉を言った。