身長は、僕よりも少し低かったが、痩せていた。

男は、うつむき加減で近付いて来て下を向いたまま僕に、話しかけた。



「純一君かご苦労様。河田だ。よろしくな。」



男は、そう言うとジャンパーから煙草を取り出して火をつけた。


キャップの間から見える髪はかなり白髪が混じっていた。


河田は、煙草をうまそうに吸いながら顔を上げた。


僕は、一瞬ビクッとした。

河田の右頬が赤黒く引きつれていたからだ。


火傷の跡のように見えた。


河田は、僕の視線に気付いたらしく笑いながら答えた。



「これか。皆最初は、驚く火傷だよ。

仕事中にガソリンに引火してね。

次郎さんに助けてもらったよ。

この程度ですんだのは次郎さんのおかげだなあ。


俺、河田康男だから、今じゃヤケドのやっちゃんって呼ばれてるよ。

10年前から漁師やってて今は、自分の漁船も持ってるよ。

次郎さんと違って俺は、結婚してるし子供もいるよ。


次郎さんは、結婚してないからなあ少しだけ優越感ってやつを、感じるな。」