次郎は、僕達に島の端に逃げておくように行った。
「次郎さん、あれをやるんだな。」
藤本が笑いながら言った。
海上保安庁の船は、島のギリギリまで近づいて来た。
上陸は、これだけの人達が居るのでないだろうと思われたが威嚇の意味もあるのだろう。
「島から退去しなさい。」
また警告の言葉が発せられた。
次郎は、山に向かって手を振った。
山からオー!と声が挙がった。
ゴロゴロと大きな音をたてて大木が山から何本も海岸に向かって転がって来た。
段差ときちんと道を作っていたおかげで凄いスピードだった。
大木は、藤本と僕が土嚢をわざと積んでない所を通り海に入った。
海に入ったせいでかなりスピードは、落ちたが海上保安庁の船の正面に幾つもぶつかった。
海上保安庁の船は、揺れて正面部分にかなりの損傷を受けた。
大木が何本も転がって来るのを見て海上保安庁の船員が伏せるのも見えた。
次郎は、素早く僕から猟銃を取り上げると船に向かって1発撃った。
船の上部に付いていたスピーカーを見事に撃ち落とした。
次郎は、猟銃を僕に戻すと藤本にもう1隻沈めて来いと言った。