「山下くん、今の笑顔もう一度!撮り逃したから、ワンモアチャンスちょうだい!」



「は?」



「可愛かったの。即待ち受けにしたくて!」



「拒否」



そう言ってドアは閉められた。え!?うそん!?



「ちょっと山下くんっ。話はまだ終わってないのに~」



ガクッと肩を落として、横にいた夏生の顔を見ると、早くしろよオーラが出ていたので、あたしは渋々里津くんの部屋の前から離れた。



「あの笑顔は最高だった!ねぇ、夏生も見たでしょ?あの自然な笑顔を!」



「見てない。迷惑メール来てたから、それを削除してた」



「おっつ……いいチャンスを見逃したな、お主」



「別に構わないけどね」



じゃあこっちだからっと、あたしと反対方向へ夏生は向かうらしく、夏生の家の前で別れることになった。



「山下くん2号によろしくね!」



「……だから山城だって」



あ~あ。あたしも早く山下くんを彼氏って呼びたいな。みんなにこう、堂々と見せつけてやりたいの!



あたしの彼氏ですの。イケメンでしょう?とか言っちゃって~ぐふふ♪将来を見据えてばかりだね、あたしって。



「おい」



すると声がした。