『ねぇ、新明くん…』

…博…子?
なんでこんなところに?
何をしてるんだ?

真っ白なワンピースを着たおまえが、
突然目の前に現れた。

微笑みながら…

『新明くん…』

寄るな、せっかくのその服が汚れちまう。

俺なんかの血で…

こんな穢い血で…

それでも細い腕が
横たわる俺の頭をそっと優しく胸に抱き寄せた。

その温かさに、痛みが融けていくように消えていく。

ああ、楽になったよ、おまえのおかげで…

なぁ、博子。

おまえはいつもこうやって俺のそばにいてくれたな。

ほら、見ろよ。
この縫い目のとんだ巾着…

今までずっと持ってたなんて、
照れくさくて、言えなかった。

どんな時も、肌身離さず持ってた。

何度も何度もこれを握り締めては
おまえに話しかけてたよ。

こんなにちっぽけな袋なのに、
俺にはとてつもなく、大きな力をくれたんだ。