「…行ってきます」 誰もいないのにわざわざ行ってきますを言ってから玄関のドアを閉める。 空は皮肉にも快晴。 夏本番を予感させるような鋭い日差しがじりじりと肌を焼き付ける。 「……学校、いきたくないなぁ」 だって、 空木に会ったら泣いてしまいそうな気がしたから。 さわさわと吹く穏やかな風があたしの栗色の髪をなびかせた。