「お前をもう、手放したりはしないぞ」



またひすいの唇に口付けを落とす。



その暖かなぬくもりに溶けていっていきそうになる。





「……人に触れられてこんなに幸せな気持ちになるのは初めてだよ」




ひすいがぼそっとそう呟くと政宗は目を閉じて微笑みながら、腰にまわした腕を徐々に上げていき、そのまま肩を抱いた。





「それは、俺と同じ気持ちだ」




「同じ?」




ひすいは首をかしげる。



それに政宗は頷いた。




「それは、愛し合う者たちの感情だろう」




「つまり……、俺が政宗さんを好きだってことか?」




「そうだな…、そうだと嬉しいな」




―――…これが『好き』という感情なのか?



人肌を感じることが、こんなにも心地の良いものなのか。





「この感じ……、源九郎とは違う」




ひすいは政宗の指にそっと触れた。




すると、政宗は一方の手でひすいの黒髪を一房手にとってそれを唇にあてた。





「何度も言うようだが、俺の想いはあの頃とひとつも変わっておらぬ。俺の心は全てお前のものだ。…………お前のそれも、俺のものになれるか?」



政宗は甘い声でこんなことを言った。