―――――…何故だろう?
本当はここに留まりたいと願う自分が密かにいる。
この人の支えになれたらと思う自分がいる。
「別に俺は政宗さんを避けたり、遠ざけたり、ましてやあんたの前からいなくなるなんてありえねぇよ」
気づけばそう答えていた。
「ひすい……」
「今はあんたの傍にいるよ」
優しく労りながらひすいはこの壊れそうな腕を撫でた。
政宗は安心したのか、先程までの強ばった腕を若干緩めた。
「お前に言われると、それが真のように聞こえるな…」
「馬鹿言ってんじゃねぇよ。俺は嘘はつかねぇ」
「ああ、そうであったな」
政宗はいつものようにふっと笑う。
「なあ、ひすい……」
「ん?」
ひすいが首をまわして政宗の顔を伺うと、そのまま彼の顔が近づいてくるのがわかった。
拒否することもできたのだが、どうしてもそういう気分にはなれず、むしろ受け入れるようにゆっくりと瞳を閉じた。
そして、初めて重なる熱――――――――――
寒気が全身を包んだ悠の時とは全く違う、心がこの人で満たされていくような暖かい気持ちになれた。