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しばらく沈黙の続く部屋に座っていると、障子に影が映った。
「小十郎でございます」
政宗の状態を伝えに来たのかもしれない。
入って下さい、と梵天丸が促すと小十郎がそれを二度に分けて開けた。
「……ひすいさん、ありがとうございます。政宗様は秘薬をお飲みになられた後、すぐに熱は下がり、呼吸も安定してまいりました」
「よかったぁ……」
小十郎の報告が良いものだとわかってひすいは安堵のため息を漏らした。
「母様…!ありがとうございます!」
梵天丸も自分のことのように喜んでいた。
すると小十郎はひすいの名をひっそりと呼んだ。
「ひすいさん…、貴女に少し政宗様のお部屋で看病してもらいたいのです」
「お、俺っ?!」
はい、と小十郎は大きく頷く。
「あの方は貴女を必要としています。貴女がいることが、政宗様の回復を促進させると思うのです」
「俺が、いることで…」
「お願いします…」
小十郎の必死の懇願に、ひすいは首を振ることはできなかった。


