「ひすいさん…!かたじけない」
小十郎は壺を見つめたあと、膝を落として梵天丸と視線を合わせた。
「梵天丸様、私はこれを政宗様のところに持っていきます。貴方様は機会を見計らい、ひすいさんとご一緒に自室へお戻りくださいませ。……できますね?」
小十郎の真剣な表情を察して梵天丸も深く頷いた。
この様子を見て、ひすいはあの梵天丸の聡明さはこの人の影響なのかもしれないと感じた。
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小十郎が早足で戻っていった後、梵天丸はひすいの手を繋いで子供ながらに周りを警戒しながら歩いていた。
これが五歳児といえようか?
ひすいはまったく訪れなかった空白の五年の間に一体どういった教養をしたのかと不思議に思った。
――――<鷹>のあいつらより、よっぽど頭が冴えるんじゃねぇか?
そんなことを考えていたら、口元が緩んでしまっていたらしい。
「母様、どうされました?」
時々こちらの様子も伺う梵天丸に疑問を持たれてしまった。
「いいや、なんでもないさ…」
「そう、ですか…。――――――ここが僕の部屋です」
襖を開けると予想通りの部屋だった。


