ひすいは二人の意図がわからず、首をかしげる。
その様子を見て、小十郎はそうでしたね、と頷いてこほんとひとつ咳払いをした。
「政宗様が毒を盛られたという話は城内だけの機密になっておりました」
「……え!なんでっ?」
「城主が倒れたと聞けば、必ずや好機と思い、隣国の主が攻めてくるでしょう。戦うことになりますが、大将のいない軍が統率を取れるはずがありません。それは参謀の私でも為し得ない代物なのです」
「そ、そうなのか…」
ひすいには解せない事柄であった。
<鷹>においてはひすいが不在の場合は豆吉が指揮を取るように言い付けてあった。
それは他の仲間にも伝わっており、了承済みであるが、ここまで大きくなった国はたった一人の大将がいないだけで総崩れてしまうのか。
「それが漏れている…。一体誰が?」
「それより小十郎、さっき買ってきた解毒剤を父様に…!」
「そうでした…!」
二人が先に進もうとするのをひすいは呼びかけて止めた。
「秘薬を持ってきたんだ…!きっとその解毒剤よりも効くはずだ!」
ひすいはあの小さな壺を差し出すと、それを両手で小十郎が受け取った。


