聞き覚えのある声に振り向くと、そこには小十郎と手を引かれて何か袋包みを抱えた梵天丸が立っていた。
「小十郎さん…!梵天丸…!」
ひすいは内心ほっとした。
すぐに門番が小十郎のもとに駆け寄って事情を説明していた。
その小十郎は顎に手をあてて眉を寄せている。
何はともあれ、ここで小十郎と会えたことが好機。
すぐに中に入れるように取り計らってくれるだろうとひすいは考えていたが、
「去れ!小十郎様の寛大なるお心により牢獄は免れた。――――運のよい女だな…」
「え…」
ひすいは呆然とそこに立ち尽くした。
門番はその間抜けた声に苛ついた様子で手に持つ槍をひすいに向ける。
「ちょっ……、小十郎さん?」
門番に槍を向けられている間にも小十郎と梵天丸は門の中へ入ってゆく。
「そ、そんなっ…!」
そのままひすいに応答しないで二人は城の中に消えていった。
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比較的警備の薄い城の壁にひすいは身を縮ませて座っていた。
「どうしよう…」
頼みの綱が切れたようなものだ。
何故あの時返事をしてくれなかったのはわからないが、二人とも自分と目を合わすまいとあからさまに背けていた。
「これじゃ、救えないよ…。政宗さんが死んじゃう…!」
いつの間にか、大粒の涙が流れていた。
あの人を失いたくない。
ふと、その思いが脳裏を過る。


