「ふっ…」
首に腕をまわしていた男が息だけで笑った。
そして、まわしていた腕の手の方で豆吉の頭が激しく上下左右に揺れるほど男は撫でた。
豆吉はその意図がわからず、頭上には疑問符が数個浮かんでいた。
「……あんたには適わねぇよ」
急に素面になったように真面目な顔で男は言った。
「あんたの姉貴を思う気持ちは計り知れないほど大きいって、わかっているつもりだ」
男は顔を丸めて笑った。
「あんたほど、姉貴を好きでいる奴はいねぇな」
「なんだよ、お前もさっき姉貴に好きだって言ってたじゃねぇかよ」
「ああ。違ぇ、違ぇ!」
男は大きな動作で腕を横に振った。
「俺らは『姉貴』として!お前の気持ちは違うんだろ?」
ああ、こいつらは俺のこの感情に気づいていたのか…。
豆吉が男たち一人ひとりを見ると皆、にかにかと笑っていた。
「姉貴を『女』として好きなんだろ?守りたいんだろ?」
「俺たちゃ、もうそういう年頃はとっくの昔に過ぎちまった。俺にとっては姉貴は娘って感じだな。箱入り娘だ!」
それぞれが意見を述べているとき、豆吉は近くの男と目が合った。
その男は微笑んで言う。


