「おいこら、皆が口に秘めてることを言うんじゃねぇ!」
「なら俺も好きっす、姉貴ーー!」
「俺も!」「俺も!」「おいらも!」
皆それぞれがひすいへの本気の想いを伝えてはいるが、彼女自身は右から左に受け流す程度で結論的には自分は慕われているとだけを解釈していた。
憐れな皆の衆よ……。
最後にひすいは<鷹>の野郎共を見渡し、ふぅと息を吐いてから微笑んだ。
「この土地を頼んだぜ…!」
「「はい、姉貴っ!」」
そうしてひすいの率いた襲撃隊は山道へと進んでいった。
その集団が見えなくなるところで一人の男が呟いた。
「―――にしても、姉貴はいつ見ても綺麗だよなぁ」
顎の髭を擦りながら、ひすいより大分年上の男が所謂(いわゆる)オヤジ目線で後ろ姿を眺めていた。
「止めとけ、止めとけ。お前じゃ見向きしてくれる歳じゃねぇよ」
そう言った男を含めた周りの奴が高らかに笑った。
「うるせぇ!ほっとけよ、俺のことなんてよっ!」
男は地面に唾を吐いた。