しばらくして、依然二人はそのままの状態であった。



ひすいの嗚咽が収まり始めた時、政宗はゆっくりと言葉を紡ぎ出した。




「俺はお前が好きだ。これは五年前と何ら変わりはない」



「……」



ひすいは応えないが、政宗は続ける。




「……愛するお前に俺が嘘などをつくと思うか、ん?」




まるで子供に尋ねるかのような口の利き方にひすいは不貞腐れた。



「俺は、餓鬼じゃねぇ…」




ぼそっと言い放ったひすいの言葉に政宗は微笑みを漏らす。




「ならばわかるであろう?源九郎は俺にとっても大事な存在であった。そんな奴を無下に扱うようなことを俺は絶対しない」




気持ちが込められているのがとてもよくわかる。





――――信じても、いいのだろうか?




自分を愛すと誓ってくれたこの男を。



嘘は言わないと誓う男を。





「……あんたは、殺してないんだな?」




「ああ」




「源九郎に、誓えるか?」




「ああ…!」





なおも頭を撫でるその手は大きくて、見た目は華奢な指にみえたはずなのに手のひらは皮がしっかりしていて厚い。





「俺は…、あんたを信じていいのかな?政宗さん…」