「お前は本当に俺が殺したと思うのか?」
「だったら、誰がやったんだよ!」
ひすいが声を荒げると、政宗は呆れたようにため息をついた。
そして自分の唇をひすいの耳元にあてた。
「俺は敢えて声を抑えて話しているというのに…。――――この荒ら声を聞きつけて今に小十郎がやって来るぞ」
「小十郎さんが…?!」
「そうよ。奴を侮るなよ。小十郎は参謀ぞ。故に、少しの証拠で状況を察知する。………どうする、このまま小十郎に捕まるか?それとも―――――」
政宗はいたずらっぽく口角を吊り上げた。
「――――…俺が匿ってやろうか?」
政宗はこの状況において、ひすいの選択肢がただひとつしかないことがわかっていた。
その意図を汲み取ったひすいは悔しそうに奥歯を噛み締める。
「くそっ………!」
政宗が言った通り、足音が近づいていた。
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「政宗様…!?」
先程から政宗の自室で彼のものではない声が聞こえていた。
小十郎は刺客ではないかと思い、駆け付けたのだ。
その部屋の襖を開けると、政宗が普通に寝床に横たわっていた。
一見したところ、特にこれといった血痕もなく、切り合いは行われていないとみた。


