奥州の山賊





陽は既に傾いていて、その西日が豆吉の顔半分を照らす。




「姉貴…、大将の件(くだん)のことだけどよ」



「源九郎だと……?!」




先程その話をしていたばかりだ。


ひすいは身を乗り出して豆吉に詰め寄った。




「さっき、仕留める前の<獅子>に訊いたんだ。そしたら、大将を殺したのは…―――――」




豆吉とひすいの間に突風が吹いた。


豆吉の口はある一人の男の名を呟いていた。




「…………なん、だって?」



ひすいはその衝撃に言葉を失う。


豆吉は罰が悪そうに俯いた。




「姉貴、もし嫌なら俺が――――」




全てを言い終える前にひすいは首を振った。




「俺が、やる。源九郎の屍に誓ったんだ…」



「そうか。………そうだよな」



「今日は帰らない。この闇であいつを仕留める」




そう言うひすいに豆吉は懐から刃を出した。



「これを使ってくれ。………あんたなら、できるよ」



ひすいはひとつ、大きな深呼吸をした。




「――――――行ってくる」




そして、そのまま闇に消えていった。