奥州の山賊





「源九郎…」



「なんだ」



「ありがとうな…」




一瞬目を見開いた源九郎だったが、すぐににかっと笑い、鼻を擦った。




「礼なぞいらんぞ。わしは娘ができたみたいだ」




ひすいの頭にそっと手を置き、それからぽんぽんと優しく撫でた。




―――――ひすいは誓った、



彼のような人になることを。




彼のように弱さがない、最強の山賊に…―――――




しかし、…――――――――




―――――
――――――――





「嫌だっ!嫌だよ、源九郎ぅぅっ」




大雨の中、乱れ叫ぶのはひすい。


そして、そこには無残にも何ヵ所も刺され、切られ、血を流す源九郎の姿があった。




「――――嬢、ちゃん…。う、るせー……わい」




「源九郎っ!死ぬな、死んじゃ駄目だからな」




源九郎はふっと笑う。




「………お前さんは…、わしを不死身と、考えて………おる、だろう?」




「不死身だよ!源九郎不死身だよ!」




「それ、は……間違っておる、のぉ。――――人に、死はつき物じゃ……」




大雨に濡れたひすいの頬に大粒の涙が流れた。




「泣くな……。永久に、生きら…れるひ、となんぞ……それは化け物じゃ……」