これが、あのひすいの過去である。



物心がついたときから身寄りがなく、こうやって稼いでいた。



夜になると生きた屍のように蛇行しながら彷徨い、適当な男を見つけては声をかける毎日だった。



こんな薄汚れた彼女であったが、この風貌はその汚れさえ際立たせないほどの美しさを誇っていたために、村のほとんどの男はひすいに興味を持った。



ひすいは生きるために、必死に稼いだ。




しかし金をしっかり貰うが、それは偽物であったりすることが多く、ひすいはいつも飢えの中で戦っていた。





ある日の夜―――――



ひすいは山奥に来ていた。



「金…、金をくれ…――――――」



いつもの口癖が森の木々に反響する。




「なんでもするよ…」



「―――――お前、誰だよ。ここは<鷹>の領域だぜ?勝手に入ってくんなや」




ひすいは男と出会った。


彼の服装もひすいに近いようなもので、俗に言う『山賊』であった。




「ああ、あたいを買いにきてくれたんだね…」



ひすいは男にしがみついた。



「な、なんだよっ!」



急な出来事に男は戸惑い、彼女を振り払おうとした。



しかし、毎日生きるか死ぬかの瀬戸際を歩んでいるひすいに力は及ばない。