―――――<獅子>がたいしたことのない山賊集団ならばよかったのに…。



彼らはこの地を力でねじ伏せている集団だ。


精鋭なる者が多いと聞く。




―――――…今だって無責任に梵天丸を預けているんだ。これ以上の迷惑はかけられねぇ。




「言わぬか……」



「言えねぇ。これは俺たち<鷹>の問題だ」



「――――ひすいだけの事情ではないのか」



―――――失言した。




こういうところは大名相手だと厄介である。



話し手の言葉に一字一句気を配り、全てを聞き洩らすことはしない。



ひすいは心の中で舌打ちを打った。




そして大名は…―――――



「ならば、山賊間の闘争に?…求婚されたか」




そう、何といってもめざとい。



たったあの失言だけでここまで推測―――いや、断定と言って良いだろう―――されるとは思ってもみなかった。




――――伊達政宗という男は侮ってはならんぞ。



その通りだ。



あの男の―――父の、言うとおりであった。



あの頃はまさかこんな風に関わるとは考えもしなかったため、聞き流していたが、もっと真剣に聞いていればよかったと今更ながらに後悔の念が募る。