政宗の気持ちもわからないが、小十郎の気持ちもまたひすいとは異なるのかもしれない。
―――――苦しい。
この精神的な苦しさは何だろう。
辛くて、胸が痛い。
――――確か、胸の病にはかかっていないはずだが…
小十郎さんなら、知っている気がする。
そう思って小十郎を切なげに眺めていると、横から腕を掴まれた。
「な…―――――!」
「小十郎のその言葉、信じよう」
その相手は政宗だった。
「……恐れ入ります」
小十郎は床に手をついて、恭しく頭を下げた。
「だが、ひすいよ。しばしこちらに付き合うてもらうぞ」
「あ、え……」
ひすいの返事を聞かないで、政宗はそのまま歩きだした。
「――――父様のあのお顔は初めて拝見しました…」
二人が過ぎ去った後、我に返った梵天丸が小十郎のもとに近づいてきていた。
「梵天丸様……」
「何故でしょうか、小十郎」
一言も狂いの無い聡明な口調で小十郎に尋ねる。


