奥州の山賊





仲間の男が首筋を労るように触る。


そう、そこはさっき…―――――



「赤い、丸いものがたくさんありまっせ…」



ひすいは聞いた途端、彼の手を乱暴に払いのけた。


そしてこれ以上見られないように片方の手で隠した。



「そ、それは一体……?」



「何でもねぇ。今見たものは忘れろ。そして誰にも言うな、…特に、豆吉には」



「けど…」



「忘れろっ!」



ひすいの大きな声は、この男の肩を震わせた。


その顔は怯えているようにも見えた。


「…………それと、長めの布を用意しといてくれないか」



「へ、へぃっ!」




この場にいれば、被害が自分に加わるかもしれないと恐れたのか、男は早足で帰っていった。




「……ふぅ」



ひすいは一息ついて、空を見上げた。



「また、会いたくなってしまったよ。梵天丸……」



そう呟いたはずなのに、思い浮かぶのは政宗で、さらには小十郎の顔が浮かんでいた。



小十郎が顎に手をあてて微笑む姿が忘れられない…―――――




「小十郎、さん………」




いつの間にか、彼の名をも呟いていた。