「へ…へぇ、そりゃそうなんですけど…」
頭の気分を損ねてしまったと手下ながらに感じていた。
―――――ここで、下手な言い訳をすれば……
手下はその後に起こるかもしれない恐怖の罰に震え上がった。
「じゃぁ、何にもないだろ?俺に逆らうことなんかさ」
「へい、な…何もありませんわっ!」
手下たちのその返事を聞いて、頭は満足そうに頷いた。
「帰っぞ、おめーら!先帰って夕餉(ゆうげ)の支度でもしておけよ。………俺は後から来るからな」
「姉貴、俺もですかい?」
「豆吉……」
山賊女の側近のような立場にいる豆吉と呼ばれた男が尋ねた。
「お前もだ」
「絶対、ですかい?」
豆吉のしつこい質問に山賊女は眉をピクッとさせる。
「………なんでそこまで気にすんだよ」
「あんたが心配なだけだと言ったら、怒りますか」
豆吉は他の手下たちとは随分と歳が離れていた。
それは、この山賊女にも同じことなのだが――――――
だからこそ、頭は豆吉を側近の位置においた。
同世代なら、意見の一致が多いだろうし、その方が<鷹>をまとめあげるにあたり、それを統制できるだろうと頭は考えていたのだ。