「君と僕は同胞(はらから)のはずだよ、<鷹>の頭領」
「なっ、俺を知って―――――」
瞬間、男との距離が縮まり、目の前には妖しく微笑む<獅子>の頭領がいた。
男とは思えないほど白く細い指でひすいの頬を撫でる。
触れた体温の冷たさに、この男は既に死んでいるのではないかと錯覚を起こしてしまいそうになる。
そして、何より鳥肌がたつような寒さが身を覆った。
「――――唯一、異なるなら、君の美しさだろう。君こそが僕の女になるに相応しい」
男はひすいの手をとり、顔を近づけた。
しかし、ひすいは無理矢理にそれを払いのける。
「ふざけんなっ!誰があんたなんかと…!」
「あの大名の方がいいのかい?……ふふ、伊達政宗から寵愛(ちょうあい)を受けているみたいだけど、君と彼じゃ身分が違い過ぎるだろ?」
「てめ……――――どこまで俺を知っている?」
「そうだな。あの時僕もいた、と言ったら十分?」
この会話を楽しむように男は勿体ぶる。
「………実は、僕もいたんだよね。君を襲ってやろうかと思ったけど、ちょうどあの大名が現れてお預けになったってわけ」
残念そうに、しかしどこか嬉しげに肩をすくめた。


