そのとき、ひすいの閉じた瞳から一筋の雫が流れ落ちる。
目尻から流れたそれは一瞬光って地面へと向かう。
その雫がひすいの肌から離れたとき───────
込められた力は抜け、握っていた手は急に重みを感じた。
これが何を指し示すのか、政宗の感覚はわかっていた。
証拠に、隻眼から彼女と同じように一筋の雫が頬をつたう。
「…………………ひすい?」
感覚は現実を受け止めているのに、心が追いついていない。
名を呼べばまた笑ってくれると思っている。
「…………眠ったのか?」
死んだように眠っているだけだと、勝手に解釈をする。
隻眼からは未だに雫が流れている。
もしこれが両眼だったならば雫は分割され、流れずに器に収まりきったのだろうか。
「……………政宗様───」
ふと背後よりあの声がした。
政宗はゆっくりと振り返る。
「小十郎…」
彼を呼ぶ声は震えていた。
小十郎はまさかこんな政宗がいるとは考えてもおらず、目を見開いたがすぐに感情を押し込み、茂る草々を掻き分けて近づいていった。
次第にわかるその状況に小十郎は顔には出さないが、内心相応驚いていた。
「ま、政宗…さ──────」
もう一度、その名を呼ぼうとしたとき、彼はぐったりとした身体を抱きしめ、そして叫んだ。
「もう遅いっ─────!」
「……………!」


