悠との距離はわずか。
刃先はすぐに標的に到着した。
ひすいはにんまりと笑う。
────急所を狙ったため、きっと彼は死ぬことができるだろう。
証拠に、彼の鮮血が刃をつたって流れてくる。
─────勝った…。
勝利を確信して悠の視線を感じようとした。
しかし。
指先がぬるま温かい血で染められようとしたとき、悠の口角がほくそ笑んだ。
次の瞬間、
「──────んぐっ!」
ひすいの背中に熱を帯びる。
その痛みは以前にも経験していた。
急所こそ外れたとみえるが、傷口から大量の血液が流れているのが皮膚の感覚でわかる。
これは、あと少ししかもたないのではないか?
その思いが頭を渦巻いた。
「な、ぜ………」
出血で口が回らないのではない。
焦りと動揺で上手く動かせないのだ。
端から見れば抱き合っているような状態で、ひすいはおずおずと見上げた。
悠は満足そうに笑っていた…────
「僕は、初めて会ったときから君を想っていた」
ひすいよりも傷は深いはずなのに、悠は流暢に言葉を発する。
「源九郎の後ろに隠れながらこちらを見ている君がいとおしかった」
「……………っ!」
悠は徐々に刃をひすいの身体へ入り込ませてゆく。
刃先で器用にこじ開けるように、手先を回す。


