奥州の山賊






だが、確かに言えることがある。










それは、源九郎を殺したのは悠に間違いないということ。












ひすいの悲願であったのが今果たされるのだ。












もう迷うことは何もない。











後ろ手に握った小刀に手汗が含まれる。



ちょうどその時、ひとつ、人の顔が浮かび上がった。












──────それは、政宗の辛そうな顔だった。









…政宗さん、俺が人を殺すのが嫌なのか?










これは自分自身が作り出した幻想に過ぎないが、それでも彼が語っているように感じる。









……大丈夫だ。
必ず、あんたのところに帰るからな。




俺が目の前の男を殺しても、あんたはまた抱き締めてくれるよな。


頑張ったな、って微笑んで頭を撫でてくれるよな。






─────…だからよ、政宗さん。

俺ぁ、ちっとも怖くないんだぜ?












「お前の話は良くわかった」






ひすいは体勢を低くする。






「だがよ、あんたが源九郎を殺したのは変わりない。だから──────」







そして、重心を前へと出して走り出した…────








「ここでお前に死んでもらうっ─────!」