「………っ!くそっ!」
だがいつまでも後悔していては始まらない。
考えはひとつあった。
相当な覚悟が必要だということはわかる。
しかしそれは愛する女のため…───
豆吉はある場所へと足を向けた。
────
───────
場所は米沢城…────。
ひすいが帰ってきたときは白んでいた空も、今は日が傾き始めている。
「…………」
豆吉はそこにいた。
奥歯を噛み締め、これから会うであろう人に屈するのが悔しかった。
「けど…、そんなことは言ってらんねぇ」
ひすいと同じように壁をはい上がり、中庭を覗く。
そこにはあの時のように政宗がひとりで刀を振るっていた。
豆吉は中へと飛び降り、堂々と彼に近づいた。
土を踏む音に政宗は気付き、刀を豆吉に向けて警戒心を露にした。
「貴様、何者だ」
刃先が豆吉の身体に届くか否かのあたりですっと彼は跪いた。
「俺は、<鷹>の頭領の側近です」
「<鷹>…。ひすいのところの者か」
豆吉はキツく下唇を噛んだ。
「………………………はい。そうです……」
「その者が何故(なにゆえ)ここに来た?」
政宗の刀はまだ豆吉の方へ向いていた。
傾いた陽がその峰を朱に染める。


