「嬉しいんだよ…、馬鹿やろぅ…───」
膝を抱え、口から洩らされた言葉はこれだった。
はっきり言えば良いものの、素直になれないひすいは隠れて心が表す気持ちを紡ぐしかなかった。
直にここで呟くことさえも恥ずかしさが込み上げてきたひすいは乱暴に髪をくしゃくしゃに掻いた。
「くそっ…。こんなに掻き乱されるなんて──────」
「意外だった?」
「─────…っ?!」
聞き覚えのある声だった。
それは背後より楽しそうに言っているのがわかる。
ひすいはゆっくりと振り返った。
「ご機嫌よぅ、<鷹>のお頭さん」
現れた男は赤髪を一つに束ね上げて、不適に笑っていた。
「元気になってなりよりですわ〜。俺の口付けのお陰だな」
「お前…」
「ほぉ〜。声も澄んでて綺麗だね。やっぱ惚れるって言葉はあんたのためにあるんだろうね」
「お前…、あの時の男か」
すでにひすいの頬の赤みは消え、目の前にいる赤髪の男を鋭く睨む。
対してその男はそんなひすいとは対照的にただ不気味に笑っていた。
「そんな顔して睨むなって!口付けした仲じゃねぇか」
「誰が…。俺が動けないことを良いことにしてきただけだろうが」
「厳しいな…。ま、仰る通りですけど」


