「なんか湿気た話をしたな。まったく…、俺らしくないぜ」
ツバメは立ち上がった。
「行こうぜ。きっと悠が新しい命令を出してくれるはずだ」
そう言ってツバメは結っていた髪を一気に解いた。
解かれた髪が一瞬宙を舞う。
──────弱さは人を蝕む。
かつての賢者がこんなことを言っていたような気がする。
トンビはツバメの頭上に浮かぶ月を見上げながらふとそう思った。
─────今、俺たちは弱さと闘い、悠という狂気から蝕まれているのか…
確かに、俺たちは弱いのだな…。
力量とか権威とかの大きさを言っているのではない。
それに抗えるか否かなのだ。
そこに弱さがある。
強い者は抗う術を持っているから、誰かを支配することができるのだ。
伊達政宗も、悠も、そして…『あの女』も────
それに比べ、ツバメを含めた俺たちはその抗う術を持ったときの影響を恐れているのだろう。
だから弱いままなのだ…。
「だけどさ、俺はお前に出会えてよかったって思ってるよ。トンビ…」
柄にもなく、ツバメは微笑んでいた。
「…………そうだな。俺も、お前だけは信用できる気がする」
そうだった──────。
俺はこの男だけは信頼できるのだ。
まだ、弱さに打ち勝つ方法があるではないか…。
「ひとっ走り、いくか…っ!」
「ああ───────。」
─────『お前を信じること』それが何よりの抵抗。
強さを求めるための象徴。


