もしかしたら、この方はそれをあの女に見出だしているのかもしれない。
「貴方様は、ひすいさんに愛されたいと、そう仰るのですか?」
「ん?」
振り向いた顔は優しく、それはまさしく愛のある表情だった。
これに小十郎は確信する。
―――――この方は、あの女を想い続けている。
考えてみれば早くにもわかったはずだ。
五年前、ひすいを連れてきたその日から城下にひとりで行くことはなくなった。
その分の時間を政(まつりごと)や梵天丸の世話に費やした。
小十郎は梵天丸の世話を女中にやらせるべきだと訴えたが、それに対して政宗が頷くことはなく、食事も勉学も武道も全てを自分で教えた。
梵天丸は庶民とは思えないくらい聡明で、五つ(推定)にして文字も書けるようになっていた。
政宗が熱心に行った賜物でもあるが――――
彼がそこまでした理由――――
それは、あの“ひすい”から預かった子であったからだったのだ。
ひすいに会ってから、より愛を語るようになったのもまた事実。
政宗は既に…―――――


